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2022.5.28

LADIES TEAM

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小笠原唯志監督「2021-22シーズン総括」

 

代表質問

■今シーズンを振り返って
「まず始めに、日本初の女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)に参入させていただいたことに対し、株主・スポンサー企業の皆様、行政をはじめとする地域の関係の皆様方、ファン・サポーターの皆様、クラブ関係者の皆様に御礼申しあげます。本当にありがとうございました。
WEリーグ初年度を戦うにあたり、多大なご支援をいただき、スタジアムに足を運んでいただいて熱い応援をしてくださり、重ねて感謝申し上げます。
試合中も苦しい中、ファン・サポーターの皆様が手拍子をはじめ熱い応援をしてくださり、選手たちの後押しになっているなと実感したことが何度もありました。本当にありがとうございました。

シーズンを振り返りますと、なでしこリーグ2部(5位)からWEリーグに参入させていただきました。WEリーグ11チームのうち、昨年なでしこリーグ1部であったチームとの対戦、あるいは新規参入で実力のある選手を集めたチームとの対戦となりますので、苦しい戦いになることは最初から予想していました。苦しい中にももう1回苦しさが出てくるのであろうと覚悟していました。
プレシーズンマッチを戦い、手応えと差を感じ、シーズンに入っていきました。選手たちの持ち前の明るさだったり、エネルギーを発揮できたことによって、第1節のアウェイ開幕戦は素晴らしい戦いで勝利することができました。第2節にホームに帰ってきての強豪ベレーザ戦も0-0の引き分けでしたので、少し戦えるのかなと感じましたけども、その後、なかなか得点を挙げることができない、勝利を積み上げることができない戦いが続き、やはりプロリーグの難しさ、洗礼を受けたなという気持ちが正直ありました。
そのような状況の中、選手スタッフと一丸となって、下を向かずに戦い続けたことで、前期6位という成績で折り返すことができました。ただし、得点力不足という課題が後期も改善することが難しかったです。降格がないレギュレーションですので、選手個々の将来とチームの将来を考えて、得点を奪うことに特化したトレーニングを前期は注力し戦いました。後期に入り、新スタッフのアドバイスもあり、守備戦術を構築し選手たちに浸透させながら、カウンター攻撃で得点を奪いに行く形で戦いました。後期の前半戦に勝利を挙げることができませんでしたが、セットプレーでは水谷GKコーチを中心に構築してくれて、そのあたりが形になりはじめ連勝しました。最終戦で勝てば6位を自力で掴み取れる位置につけたことは、選手たち、スタッフが本当に頑張って戦った成果です。残念ながら最終戦を勝利で終えることができずに7位でシーズンを終えました。

冒頭申し上げましたとおり、なでしこ2部からの参入でありながら、チームの年間順位目標である6位に届くところまで持ってこれたことは、選手たち、スタッフが頑張ってくれた成果であり、心から感謝しています。よく戦った、よくやれたなと最後選手たちに伝えました。苦しい戦いが続いたWEリーグ初年度でありましたが、こうやってチーム全員で戦えば、こういったポジティブな結果を勝ち取れるんだと皆が理解できた、そんなシーズンだったと思います」

 

■WEリーグ全体を振り返って
「WEリーグ全体を振り返るならば、2つに分けて捉えています。
まず、選手のプロ化という部分では、人それぞれ価値観が異なります。我々スタッフもプロですけど、どのような価値観でプロを継続していくのか。年俸、名誉、やりがいなど、そういった点が選手それぞれ異なりますし、これからもそうでしょう。
もう1点は、WEリーグ自体の運営についてです。秋春制のリーグ開催、それに紐づいて寒冷地の試合、トレーニング環境の不足、秋春制ですので、学生だった選手がシーズンの途中に加入してくること。6月にWEリーグが終了すること、様々な成果と課題が出ていると思います。

2つをまとめ合わすと、様々な面で成果と課題を分析して、我々がWEリーグの中でどのような立ち位置をとるのか、プランと実行をこれから振り返り、チームカラーになっていくのかなと感じています。サッカーの面では、競技として激しい戦いになっていますし、選手自体伸びている選手が多いと感じています」

 

■今シーズンの課題と、来季に向けての準備について
「まずサッカーの面では、順位が7位。得点15、失点24、得点が前期7・後期8、失点が前期11・後期13でした。得点はリーグで6位、失点はリーグで9位。足して2で割ったら7.5なので、やはり最終順位7位は妥当だと言えます。順位を上げるためには、失点を減らしながら得点力を上げることが必須課題であり、来季も6位以内が目標になってくると思います。得点を奪う試合を多くし、サポーターの皆様に喜んでいただき、スタジアムに足を運んでいただく人を増やすこと。チーム(現場)とクラブ(事業)を紐づけてアクションプランを遂行していく必要があると思っています。
もう1点は、選手の移籍についてです。学生選手はシーズン途中に加入します。一方で、なでしこリーグはシーズン中なので、なでしこリーグに所属している選手の移籍は簡単ではありません。クラブとして、そのあたりの課題を改善していくプランを持ちたいと思います。

私自身は今シーズン限りで監督を退任させていただき、来季は田代久美子ヘッドコーチにバトンタッチいたします。今述べさせていただいたようなプランを持ちながら、新チームの来季の目標達成に向けて今季を振り返り、細かな部分を構築していきたいと考えています。今季の細かな振り返りではポイントがいくつも出てくると思います。大きく言えば、失点を減らして得点を増やすことです」

 

■ファン・サポーターの皆様へのメッセージ
「我々チームが活動する、スタジアムで躍動できるのは、株主・スポンサー企業の皆様、地域の皆様、サポーターの皆様のご支援ご声援のおかげです。我々が皆様に恩返しできるように取り組まないといけません。それを見ていただいてさらに応援いただけるように願っています。今季ホームで勝利をお届けすることが難しかったことに申し訳なく思っていますし、来季多くの勝利をお届けできるようにしたいと思います。また、WEリーグの理念のひとつである女性活躍という部分に共感いただきまして、サッカー・スポーツを通じて地域の発展に貢献できるように、サポーターの皆様に恩返しができるように来季も頑張ってまいりますので、引き続き熱いご声援ご支援をよろしくお願いいたします」

 

質疑応答

■監督から見て、ここが通用したというポジティブな部分は?
「真面目な選手が多く、与えられた課題をなんとかクリアしようと頑張る姿勢は、選手たちが素晴らしいと思います。前線からアグレッシブにボールを奪いゴールを目指す点は、他のチームより長けていたと思います。対戦した数々の監督さんからも『長野は粘り強い』『最後まで90分間走って戦う』お言葉をいただいています。アグレッシブにボールを奪い、ゴールに直結するプレーを目指す、ゴールから逆算したプレーがもっとできればよかったのですが、我々の強みであったとも思います。しかし、それだけでは6位以内という上位に食い込むことは難しいと思っていますので、攻撃のバリエーションを増やし、走って戦うという体力的な強みはさらに伸ばしたいと思います。私自身も含めて指導者、スタッフがもっと勉強して能力を上げること。プロの振る舞いができるスタッフが選手を向上させていくサイクルを、もっとやりたいと思っています」

 

■上位のチーム(トップハーフ)と下位のチーム(ボトムハーフ)の差は?
「4つの面。テクニック、インテリジェンス、フィジカル、メンタルが揃っている選手が上位チームに多いと思います。しかしメンタルの面は、我々は負けていないと思います。90分間で考えると上位チームは隙を与えない、最後まで守り切る、簡単にシュートを打たせてくれないです。7位以下のチームでは、隙を与えてしまう、ボールロストの回数が多い、1つのクリアを危険なエリアにしてしまう、簡単にボールを外に出してしまうなど、細かな点は沢山あります。4つの面から考えると、上位チームを一言でいうと『手強い』と感じました。なかなか得点を獲らせてくれない。なかなかボールを獲らせてくれない。なかなかボールを繋がせてくれないのが上位チームでした。しかし我々はメンタルで負けてませんでしたし、90分間粘り強く走って戦うことができたと思います」

 

■来季に向けて田代ヘッドコーチと話をされていることがあれば教えてください
「後期から山梨学院大学で監督をされていた田代さんにヘッドコーチに就任していただき、一緒にリーグを戦ってきました。日々のトレーニングを一緒に構築していました。後期の半年間、WEリーグ全体の能力であったり、上位チームとの差であったりを感じていただいていると思います。そこを常に話しながら一緒に戦ってきました。この半年間でクラブカラー、チームの在り方など、お互いにしっかり話ができたと思っています。元々お迎えするにあたり、クラブフィロソフィー、レディースチームのフィロソフィーをしっかりご理解をいただいておりますので、それを元に来季に向けての細かな課題を田代さんと話をし、準備を進めたいと思っています。WEリーグの理念のひとつが女性活躍でありますし、田代さんであればチーム・クラブの発展に貢献頂けると思っています。町田社長と相談し、来季を見据えて田代さんをお迎えさせていただいたので、私自身は安心してバトンタッチをさせていただきます」

 

■小笠原監督自身の来季以降について
「WEリーグ初年度、監督を引き受けさせていただいたのは、WEリーグのライセンス基準の問題があったからです。常々クラブを良くしたい、クラブを助けたいという気持ちがあります。WEリーグ初年度のベースとなる部分の構築が必要だと考え、監督を引き受けさせていただきました。しかし、最初から監督を長く努めたいとは考えておらず、レディース部門単体ではなく、アカデミーをも含めてクラブ全体を見ながら力を貸して欲しいと町田社長からリクエストをいただいてました。ご存じだと思いますが、私がアカデミーダイレクターも兼務しており、『Jリーグアカデミークオリティスタンダード』で我々が1つ星を承認いただけました。その作成にも携わっていました。私の力がどういった部分でクラブの助けになるのかという部分が重要なポイントだと認識しています。従って、町田社長と話し、田代さんをお迎えし、来季を見据えて戦ってきて、今日に至っています」

 

 

町田善行代表取締役社長コメント

「小笠原とともにレディース部門、アカデミー部門の構築を行ってきました。WEリーグ参入するにあたり、ライセンス基準の問題がありましたので、クラブとして小笠原にレディースチームの監督を引き受けていただきました。
WEリーグ後半戦より、山梨学院大学より田代久美子監督をヘッドコーチに迎え、来季を見据えて戦っていましたので、監督は小笠原より田代へバトンタッチとなります。
引き続き小笠原には、レディースチーム強化部として来季の編成をも含めた構築と、アカデミーの選手教育、スタッフ教育に力を注いでもらいたいと思いますし、大いに期待しています」