藤本主税監督 就任記者会見を行いました
2025シーズンよりAC長野パルセイロ トップチームの監督に就任いたしました藤本主税新監督の就任記者会見を行いましたので、下記の通りご報告いたします。
■開催日時:2024年12月15日(日)13:00~
■開催場所:長野Uスタジアム 記者会見室
■登壇者:
・(株)長野パルセイロ・アスレチッククラブ 代表取締役社長 鷲澤幸一
・AC長野パルセイロ スポーツダイレクター兼トップチーム強化部長 西山哲平(以下 西山SD)
・AC長野パルセイロ 新監督 藤本主税
ご挨拶|鷲澤幸一 代表取締役社長より
本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。また、日ごろからAC長野パルセイロの報道にご協力いただき、本当にありがとうございます。西山哲平スポーツダイレクター、藤本主税新監督お二人を皆さんにご紹介出来ることを、大変うれしく思います。本日の記者会見もどうぞよろしくお願いいたします。
ご挨拶・監督招へいに至る経緯について|西山哲平SDより
スポーツダイレクターに就任いたしました、西山哲平です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず私の主なミッションとしては、トップチームの強化に加えアカデミーも含めた組織の強化だと考えています。サッカーのベースであるアグレッシブ・ハードワーク、戦う姿勢。これらをベースアップし、躍動感のあるサッカーを提供したいと思っています。加えて、サッカーの醍醐味である駆け引きであったり戦術的なものを加えていきたいと思っています。まずテーマとしては、スタンダードを上げること。これはすべてにおける"当たり前の基準を上げていく"ことです。アグレッシブ・ハードワークの部分であったり、はたまたサッカーに向き合う姿勢だと思っています。二つ目のテーマは、育成力を上げること。これは、アカデミーからトップチームに選手を輩出するだけではなく、既存の選手・獲得した選手を育成して伸ばしていくことを目指したいと思っています。将来的には、移籍金収入拡大に繋げて行けたらと思っております。
それらを実行するにあたってクラブとしての最善人事として、この度 藤本主税氏を新監督に招へいさせていただきました。彼の持つ人間性・情熱・求心力・育成力、サッカー感。これらが長野パルセイロにおいて必要としている要素として備えている人材だと感じています。見る人をワクワクさせるような、躍動感のあるサッカーをお見せしたいと思っております。来シーズンは基盤を作る大事な一年になると思っています。ぜひとも皆様の後押しをよろしくお願いいたします。
ご挨拶|藤本主税監督より
AC長野パルセイロの監督に就任いたしました、藤本主税です。西山さんをはじめとした強化担当・鷲澤社長含め、いろんな話を聞かせて頂き、自分の中で大きな決断をしたと思っています。監督という大きな仕事の責任の重さは、指導者を始めてから今までたくさんの素晴らしい指導者を見てきた中で感じて来ました。どれだけ大きな重責を担ったかということは、自分が決断をした時から日に日に大きくなっているところです。自分の中に持っているサッカー感・情熱・選手に対する愛情を含めて、すべてのものを懸けてこの仕事にしっかりと臨みたいと思います。どうか最後まで応援してほしいなと思います。一生懸命頑張ります。よろしくお願いいたします。
質疑応答
──就任の打診はいつ頃だったのか・その時の気持ちについて。
時期は12月の頭だったと思います。代理人の方を通して「長野パルセイロが興味を持ってくれている」と聞いた中で、その際に西山さんからも宿題をいただきました。それをすぐに提出して、ドキドキしながら連絡を待っていた状況でした。正直、熊本を退任することを10月中旬に決意・発表させていただいてから1か月半経っても(今後の)話が一つもなくて。コーチの話はいただいていましたが、どうしても監督をやりたいという想いが強くあっての決意でしたので、長野からの話はそのチャンスが近づいた瞬間でした。打診の時点ですでに胸が熱くなったのを覚えています。
──ここ数年は堅守速攻スタイルで戦ってきたパルセイロですが、監督としてどんなスタイルを構築し、どんなサッカーを見せていきたいですか。
今季のパルセイロの試合を10試合ほど見させていただきました。髙木前監督とも日ごろ連絡を取り合う仲なので、情報も貰いながらいつも応援している立場ではありました。非常に攻守においてアグレッシブでショートカウンターも多かったですし、自分が思い描くサッカーの土台になるべきものは既に築き上げられているなという印象はあります。
その中で自分のやりたいことを加味したときに、攻守においてよりアグレッシブに、もう一段階二段階上げられるだろうという印象がありますので、そこは徹底的にやりたいなと思っています。具体的に言うと、攻撃面では局面のコンビネーションや上手さは映像から見てもわかったんですが、そこにもう少し全体像を組み合わせて仕組みを作れれば、もっと有効的にスペースを活用できるかなと。基本的に僕はスペースを攻略したサッカーをしたいので、手を加えればもっと効果的に攻撃できるのではと思っています。守備に関しても、前からプレッシャーに行く今年の流れもすごく良かったですが、どうしても後方に押し込まれたときに苦戦する試合も少し見られたので、前線高い位置からプレッシャーに行って奪えているゲームは良くとも、そうではないときにもう少し組織的にできれば、もっともっと良くなるのではと思いました。
ただ、ベースとして言葉で言う「攻守においてアグレッシブに」という意味で言えば、今年の長野のサッカーにプラスアルファした形でのスタイルになるのではと思っています。
──2024シーズンはクラブワーストの18位という成績でした。悲願であるJ2昇格に向かって行くことは非常に難しいミッションになると思いますが、どんなことを監督として取り組んでいきたいですか。
これは西山さんとも一番最初にお会いしたときに話に挙がりましたが、あくまでも戦術は選手たちの土台があって成り立つものです。僕は今年までロアッソ熊本で大木武監督のもとで一番近くで勉強させていただいてきましたが、選手が上手くなって強くなって初めて戦術が成り立つと思っています。なので、その順番を間違ってはいけないし、そこに対する徹底度で言えば、かなり厳しくやんなきゃ変われないなと思っています。まずそこをコーチ陣含めてスタッフで協力して、選手と一緒に作り上げて行ければと思っています。サポーターの皆さんも一番高いところの目標を掲げられていると思いますので、もちろんそこは狙いつつも、まずは土台の部分を一年かけて、自分が思い描く最終地点から逆算し、シーズンのスタートから選手と一緒に作り上げていきたいと思っています。
──【※西山SDへの質問】監督をサポートするために、来季に向けてどのようにチーム編成をしていく予定でしょうか。
クラブとして考えているサッカー、監督が考えているサッカーを体現できる選手を揃えたいというのはあります。ただ、どうしても予算規模的なものであったり、今シーズンがこういう形で終わったということもあり、非力と言いますか、なかなか叶えきれないのは事実としてあります。ただ、たとえ未完成な選手であったとしても監督の育成力であったりアプローチによる導き方でクラブの色に持っていくことは出来ると思っています。だからこそ彼を招へいさせていただいたっていうこともあります。監督に全て責任を負わせることはありませんが、期待することは大きいです。先ほど冒頭でお話ししたテーマ「育成力を上げる」というものに充分貢献してくれる人だと思っています。どういう選手を入れたいか・入れてあげたいか、というよりは既存の選手をしっかりと育成して伸ばしていく方がメインになっていくと思います。
──藤本監督はJリーグ監督初就任となりましたが、J3で苦しむパルセイロの監督を引き受けるにあたっては、どのような心境がありましたか。
長野がこれからやっていきたいこと、中期・長期のビジョン、クラブの理念含めて西山さんからお話を聞いて、すごく魅力的でした。その一つは『地域と共に歩み、スポーツの力でNAGANOを元気にする』というクラブの理念に、すごくハッとさせられたというか。その実現に向けて長野市が中心になってバックアップしてくれているっていうバックグラウンドを考えたときに、すごくポテンシャルと魅力を感じました。自分が一番最初に監督を出来る場所としてマッチしたといいますか。自分も自分自身に対して期待しているところがたくさんあるんですが、それと長野市や長野のサポーターの方々が期待している大きさが、自分の中ですごくマッチしていて。この仕事にすごく魅力を感じたところがあったので、ひとつ大きな決め手になったと思っています。
──理想の監督像はありますか。
自分の中で好きな監督がいて。例えば日本代表の森保一監督であったり、ロアッソ熊本の大木武監督であったり。全然タイプは違いますが「そういうふうになりたいな」っていうものは正直あります。自分が「どんな監督になるかな」と想像したときに、やっぱり選手をやる気にさせるモチベーターとして、とにかく選手の自己肯定感を高められるような指導がしたいなと思いますし、そういう監督になりたいなと思っています。選手はプロサッカー選手になっている訳で、たくさん良さがある。その良さをたくさん引き出したいです。自分のサッカーでその良さが消えてしまうのではなくて、自分の思うサッカーの中で選手の良さをたくさん引き出せるような、そういうチームを作れる監督になりたいなと思います。
──パルセイロは攻撃にフォーカスした"前へ"というチームだと思いますが、まず着手したいと思っている部分はどこですか。
抽象的なところで言うと、マインドを変えたいです。マインドにはたくさん意味があると思いますが、攻撃って必ず守備に対して先手を持っています。守備は逆に後手。その後手を、予測とか準備の段階で先手まで持っていきたいと思っています。とにかくそういう「攻撃したら絶対に取られない」とか「多少プレッシャー来てもどんどん前に付けるよ」っていうマインドの部分を変えたいし、守備でも「ボールを絶対に奪いに行く」という姿勢であったり、多少押し込まれても「もう一回跳ね返すぞ」っていうマインドを選手たちにはしっかりと植え付けたいです。
その中で、具体的にどうしていくかはもちろん伝えていきます。試合を見ていて、前半は良かったけど後半は良くなかったとか、その逆があったり、試合の最後に追いつかれてしまったり。90分間の中で選手たちがいつも勝者のメンタリティを持ってプレーできるマインドを、選手には植え付けてあげたいです。その大事な要素として、「お前たちはこれだけ出来るんだぞ!」っていうものを植え付ける作業を、日々のトレーニングの中でしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
──就任時に「サポーターの皆さんと対等に」というコメントもありました。サポーターへのメッセージを改めてお話ください。
あくまでも選手は試合をエンターテインメントとする上では演者でもあります。そしてそれを一緒に作り上げるのはサポーターという存在です。なので、「お前たちやれよ!」「行けよ!」という一方的な言葉ではなくて「一緒にやろうよ!」「行こうぜ!」というサポーターも含めた言葉の中で、選手に声をかけてほしいと思います。もちろん選手たちはピッチでやっていますが、あのスタジアムの中でサポーターと選手が一緒になって勝ったり負けたり、悔しい思いをしたり喜んだり、それを分かち合える。スタジアムでの空気感を共有できる仲間でいたいと思うので、その点を含めて選手たちへの声掛けをして欲しいなって思います。ぜひポジティブな叱咤激励をしてほしいなと思います。
──ロアッソ熊本 大木監督のもとで学んだこと・監督業で活かしていきたいことは。
大木監督の一番素晴らしかったことは、やはり選手を愛する部分。言葉は綺麗じゃないときもありますが...選手から最大の信頼を得ていましたし、そこには選手への愛情があって。選手を上手くさせたい・強くしたいっていう想いが根本にあるので、そういう姿勢っていうのは近くにいてすごく感じました。それが先ほど触れた"選手の自己肯定感を上げたい"っていうのに繋がりますが、「必ずやれる」っていう事を伝え続けることがどれほど大事かっていう事を学びました。例えば関西に5年住めば関西弁を話すようになると思いますが、5年も一緒に居れば好みのサッカーも似てくるし、僕の土台になっていることは間違いありません。ただ自分もサッカーをやって40年になるので、良いものをたくさん見てきたし、それを個人・チーム戦術含めて自分の持っているものを上手くマッチできたらと思っています。その辺りを表現できたらなと思います。
──ロアッソ熊本 大木監督と言えばパスサッカーで綺麗に崩すサッカーをイメージしますが、長野にそのスタイルも持ち込みたいという考えはありますか。
自分のサッカー感の中で、攻撃で言うと一番はスペースを攻略したいです。スペースを攻略する上ではショートパスもあれば背後への長いボールもあります。一番大事なのはその仕組みを作ることだと思います。長いボールしか蹴れない状況・ショートしかできない状況ではなく、常に二つ選べる仕組み作りは必ず出来るので、その点に関しては、大木さんのサッカーの真似ではなくて自分のサッカー感の中に大木さんの良さを加味出来ると思います。あくまでも二者択一ではなく常々ふたつ出来る仕組みを作る中で、もしかしたらショートが多くなるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。今この段階ではどっちになるかはなかなか言えないですが、その仕組み作りはしっかりとやりたいなと思います。
──熊本「カモンロッソ」考案者の一人であったり、阿波踊りのパフォーマンスも有名です。長野では「シャナナ」が伝統にありますが、監督になった今後はサポーターの皆さんとの距離感はどのようにイメージされていますか。
サッカーは興行でエンターテインメントだと思っています。見に来てくれた人たちが一緒に喜んでくれたり悔しい思いをしたり、勝った次の一週間・負けた次の一週間をどんな過ごし方するのかなとか考えると、日々の活力の一助になれたらというのは常にあります。一緒に何かできる時間は、特別貴重な時間なので、ぜひシャナナの時間を作りたいと思います。
あと例えば、公開練習の日にボール回しするとしたら出来るだけサポーターの近くでやったりとか。見に来てくれている人たちに喜んでもらうのが僕たちの喜びでもあるので、それは常々選手たちにも伝えますし、自分の中にある大きなポイントだと思っています。
──長野県では特に信州ダービーが盛り上がる試合になります。信州ダービーの印象などがあれば教えてください。
Jリーグの中にも各県いろいろとダービーがあって、僕も現役時代に埼玉ダービーを経験した一人でもあります。
今年長野のホームでの信州ダービーを見させていただきました。やはり第一印象は「特別なゲームなんだな」と思いました。それはもしかしたら選手よりサポーターの方が強いかもしれません。ただDAZNで見たんですが、プレーが途切れた時の選手の顔とか、相手選手とぶつかり合って倒された時の表情だとか、そういう一つ一つが、僕が見たほかの試合の中でもやっぱり特別に気持ちが込もっているなというのは感じました。それは当たり前だと思いますが、その中で選手たちは喜びを感じてプレーしてほしいなと思います。スペインでもクラシコとか、いろんなダービーという名前の付くものはたくさんありますが、明らかにその特別感は見て取れたので、どうしても意識するものになるだろうなとは思いますし、絶対に勝ちたいなと思います。