INTERVIEW

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愛されたストライカー そのゆえんを後進へ伝える

勝又慶典(AC長野パルセイロ U-18コーチ)

若獅子がシャナナを体感 全国での飛躍に繋がる

―― 信州ダービーを経験したのは2016年と2017年で、いずれも親善試合でした。

2016年のプレシーズンマッチは出ましたが、2017年の試合は出ていません。去年のダービーを見ると全然雰囲気が違いますし、Jリーグ公式戦でのダービーは本当に羨ましいなと思いました。

―― 公式戦ではなくとも、ダービー独特の雰囲気が感じられた部分もありましたか?

正直、現役時代は選手としてお互いにカテゴリが違いましたし、サポーターと同じ感覚を持つのは難しいところがありました。ただ、サポーターの熱量は凄く感じられて、選手よりも勝ち負けにこだわっていたと思います。「山雅にだけは負けるな」という声も沢山聞きましたし、そういうライバル心が地域を盛り上げていた印象を受けました。

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―― ご自身は静岡県出身で、幼少期からダービーの熱さを知っていたのではないでしょうか?

小学生の時に静岡ダービーの前座試合をやったことがあって、そこでJリーグの凄さを感じました。当時清水で活躍していたアレさん(三都主アレサンドロ)とか戸田(和幸)さんとは、まさかチームメイトになるとは思っていなかったです。

―― 昨季の信州ダービーはどう見ていましたか?

リーグ戦はホームとアウェイの2試合とも、アカデミーの前座試合があって、僕は指導者として参加していました。勝ち負けというよりも、あの雰囲気で試合をやらせてもらえることが嬉しかったです。その後にトップチームのダービーを見ていると、普段のリーグ戦とは違った雰囲気が感じられました。普段通りにプレーするのは難しかったと思いますが、お互いに球際のバトルが激しくて、気持ちと気持ちのぶつかり合いに惹きつけられました。一緒にプレーしていたアズ(東浩史)やパウリーニョも出ていたので、自分もここでプレーしたかったなと…(笑)。

―― アカデミー選手たちのプレーはどう見ていましたか?

みんなガチガチに緊張していました(笑)。アウェイではU-14が負けてしまいましたが、ホームではU-15が勝って、シャナナをさせてもらいました。その経験があって、彼らは全国大会で活躍することもできたので、凄くモチベーションになったと思います。

―― ホームでは前座試合の段階で、8,000人の観客が入場していました。

中学生がそんな大観衆の前でプレーするのは、その年代の日本代表でもないことです(笑)。本当に良い経験をさせてもらいました。トップチームの天皇杯県決勝では、山雅のアカデミーの選手(田中想来/現トップチーム)に点を取られてしまったので、パルセイロのアカデミーも負けていられません。

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―― 信州ダービーが地域やクラブにもたらす効果はどう考えていますか?

あまりサッカーに興味がない方だったり、結果しか見ていない方にとっても、信州ダービーは気になる試合だと思います。それを目安に予定を組んでいたりして、人の生活を変えてしまうくらいの影響力がある試合だと感じています。

―― 昨季からアカデミーの指導者として活動していますが、アカデミーの試合でも信州ダービーは特別なものでしょうか?

不思議なもので、選手たちは松本山雅のことを凄く意識していますし、僕ら以上に燃えている部分があります。見に来ていただける人もいつも以上に多い中で、アカデミーなので結果だけが大事というわけではありませんが、勝敗を凄く意識してしまいます。それは松本山雅も同じだと思いますし、両クラブが良い関係性でやれていると思います。

―― 将来的には教え子がトップチームに昇格して、信州ダービーで活躍してくれるかもしれませんね。

徐々にアカデミーの環境が整備されていく中で、トップチームに昇格する選手を輩出し始めました。トップチームとの関係性も良いので、その分、アカデミーでしっかりと実力をつけてあげることが僕たちの責任だと思っています。トップチームはもちろんですが、今後はJ2やJ1、日本代表で活躍できるような選手を輩出したいですね。

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