INTERVIEW

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両クラブを知る男 信州ダービーは“存在証明の場”

塩沢 勝吾
(AC長野パルセイロ・松本山雅FC両クラブOB)

辿り着けなかった舞台 羨望の眼差しを注ぐ

―― その後は2016年から2年間、パルセイロでもプレーしました。

僕はパルセイロに移籍してからも、多くの方からダービーへの想いを聞きました。そこで感じたのは、歴史的な背景があるのかもしれないですが、松本のほうがライバル意識が強いということです。それによってパルセイロも成長して、長野県のサッカーが盛り上がっていったと思います。

両クラブを知る男 信州ダービーは“存在証明の場”

―― 松本とは違った環境でプレーして、どのような感覚がありましたか?

僕は山雅を契約満了になってパルセイロに来たので、温かく迎え入れていただけたと思います。ただ、ピッチ内外で自分の力を発揮できなかった印象です。最初はUスタでプレーできる喜びを感じて、長野をオレンジに染めたいと思っていましたが、なかなか達成できなかったです。

両クラブを知る男 信州ダービーは“存在証明の場”

―― 今年は11年ぶりに信州ダービーが行われますが、選手たちへの期待は。/p>

せっかくならバチバチにやって欲しいという想いがあります。長野県のサッカーが盛り上がるのは、街の盛り上がりにとっても大事なことです。サポーターにとってはスタジアムに行くのが生活の一部でしたが、コロナ禍を経験した今では家でも観ることができます。そこでまた足を運んでもらうためには、スタジアムの熱量がどうしても必要。ダービーはその熱量を上げられる場ですし、2011年のような空気感を出してもらえればと思います。

―― 松本大学のコーチとしても、長野県のサッカーへの想いが強いのでは?

高校サッカーを見ていると、卒業後に県外に出てしまう子が沢山います。その中で僕が指揮している松本大学もありますし、そこから(山雅に内定した濱名)真央のようにプロに出ていく選手もいます。わざわざ県外に出る必要がないようにしたいですし、僕たちは夢を繋ぐ場所を用意していくつもりです。その先にパルセイロと山雅があるので、どちらにも強くあって欲しいです。

両クラブを知る男 信州ダービーは“存在証明の場”

―― パルセイロには地元出身選手が数多く在籍しています。

地元出身選手が活躍してくれるのが長野県のサッカーのために一番良いと思いますし、それは僕がプレーしている時も感じていました。あとは地元選手に限らず、僕がそうだったように、ダービーは自分の存在を長野県内に知らしめることができる場です。応援してくださる方を増やすチャンスなので、それを上手くモノにして欲しいですね。

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―― ゆくゆくは上のカテゴリーで信州ダービーが見られるかもしれません。

J2やJ1でやるとしたら、もっと県外の方々も見に来るようになりますし、全国的なダービーとして取り上げられると思います。まだまだ県内メインで盛り上がっている印象なので、そういう期待はもちろんありますし、僕もJリーグでダービーをやりたかったなと…。パルセイロをなんとしてもJ2に昇格させたかったですね。

―― そういう意味では、今の選手たちに羨ましさを感じますか?

間違いないですし、できることなら僕も出場したいです。OB戦をやって欲しいですが、そうなると僕はどちらに出るのか…(笑)。当時を知っているサポーターが少なくなってきていると思うので、そういった方々にも足を運んでいただいて、「この感覚、懐かしい!」とまたスイッチを入れてもらえるような試合をして欲しいですね。

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