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2022.11.30

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【ご報告】『2022シーズン総括記者会見』を実施いたしました

『2022シーズン総括記者会見』を実施いたしましたので、下記の通りご報告いたします。

 

■開催日時:2022年11月22日(火)16:00

■開催場所:ホテル国際21

■登壇者:

・(株)長野パルセイロ・アスレチッククラブ 代表取締役社長 町田善行

・トップチーム監督 シュタルフ悠紀リヒャルト

 

 

 

町田善行 代表取締役社長より|2022シーズンの総括について

「まず今シーズンのトップチームの活動についてご取材・報道いただきましてありがとうございます。皆様に多くの情報発信をいただき、数年前と比べても認知度が上がってまいりましたことを肌で感じております。ありがとうございます。各カテゴリーの今シーズンの総括をお話しさせていただきます」

 

▼トップチーム

「成績については皆様ご存じの通り、34試合中14勝10分10負 勝点52で第8位で終えました。順位を見ると、昨年は9位で今年は8位と、一つしか上がっていないという数字にしか見えないと思います。しかしながらメディアの皆様も、シーズン通してご取材いただく中で感じていただいた部分もあるかもしれませんが、上位に食らいつきながら追いかけた時期もあったり、中位から下位に落ちずに踏みとどまったり。順位こそ8位でしたが何とか上に上がろうと食らいつくような戦い方が出来たのかなと思います。一つの試合を取ってみると、前半と後半ではまるっきり違うチームに見えたり、躍動する瞬間があったり、かと思えば立ち止まっているように見える瞬間もあったり。そういう意味では波のある時もあったかと思いますが、それでも前を向いて戦う姿を長野の皆様にお見せ出来たと思っています。昇格して皆さんと喜びを分かち合うシーズンになれば良かったですが、最後まで走って闘い続けるサッカーを、今シーズン通してお見せできたと思います。シュタルフ監督を筆頭に、どきどきワクワク元気をお届けできたのではと感じています。また、長野県出身選手やアカデミー出身選手が活躍をしてくれたことが、ひとつの大きなトピックスだと思います。その筆頭に山中選手がいます。U-15、U-18、市立長野高校に所属し、拓殖大を経由して長野に戻ってきてくれました。リーグ前半は苦しみ、なかなか試合に絡むことが出来ませんでしたが、徐々にフィットし後半には中心選手になりつつあるところまで来ました。そしてチーム内2番目の6得点と、非常に良い結果を残してくれたと思います。2005年からアカデミーを立ち上げ、山中選手が所属した時期はかなりのパワーをかけた部分もあり、それがここに来て花開いてきたと嬉しく感じています。山中選手の後にアカデミーへ加入した小西選手はU-18からの直接昇格でしたが、今年も数試合出場しました。これも一つの成果です。三田選手や藤森選手など長野県出身選手が活躍してくれたことも、我々長野で活動しているクラブとして非常に良いニュースであり、地域の皆様にも喜んで頂けたものと思います。最終節のセレモニーでもお話しした通り、今シーズンは少しジェットコースターのようなシーズンでしたが、来シーズンは高い位置でキープできるように、そういったチーム作りをして昇格を目指して行ければと思っています」

 

▼レディースチーム

「まだ2シーズン目が始まったばかりなのでチームについての総括の時期ではありませんが、昨シーズン小笠原が監督として率いて、プロ1年目というベースが出来たと感じています。当初計画どおりに、そのベースを引き継いだ田代監督が指揮をとり頑張ってくれています。カップ戦では負け無しでグループリーグ2位と良い成績を収めました。リーグ戦ではまだ未勝利ですが、内容としてはとても良く、勝点はおのずとついてくると思っています。観ている方々からも『良いサッカーをしているね』という感想を多方面からいただいており、JFAの佐々木則夫女子委員長からも評価をいただいています。成長を感じますし、正しい道を歩んでいると感じています」

 

▼アカデミー

「U-15が7年ぶりにクラブユースで全国大会出場を勝ち獲りました。山中麗央選手の時代以来となります。当時は2年連続で全国大会に出場しましたが、どちらも予選敗退し一度も勝てませんでした。それが今年、予選リーグ1位突破し、決勝ラウンドでも1勝しベスト16という結果を残しました。とても素晴らしい成果です。更に監督を務める栁澤翔人は当クラブ前身のエルザジュニアユース4期生です。アカデミー出身者が監督をして選手を育成し、彼らが全国で活躍してくれたことは素晴らしいと思います。山中選手や新井光選手(福島)の頃のようなタレントと呼ばれる選手は少ないかもしれませんが、全員で走って繋いで、全国で戦えるチームになったと感じています。今のチームのベースだなと思います。凄い選手が一人いるのではなく、チームで戦い勝利を掴む。現在のU-15の選手達が数年後にトップチームの選手として活躍してくれる姿を期待しています。

シュヴェスターですが、U-18の選手権で北信越大会初優勝し、この1月に全国大会に駒を進めました。シュヴェスター出身の川船選手がトップチームに昇格し、レディースもしっかりとアカデミーから育成が出来ている成果だと思っています」

 

▼普及活動

「スクールやイベント活動を地道に活動しています。地域連携推進ビジョンという提携を結び、地域の皆様と積極的に取り組んでいます。行政の方々とも連携を取って長野のスポーツを盛り上げていきます。トップチームだけが走るのではなく、見る・する・支えるという部分でも普及活動を通して、サッカー(スポーツ)に触れていただくことによって、街全体が盛り上がっていく=トップチームが更に上に行けるのではと考えています」

 

▼クラブについて

「特に今年の大きなトピックスでは、Jリーグ公式戦初、11年ぶりに松本山雅さんとの信州ダービーがありました。5/15の長野Uスタジアムでの開催では13,244人のクラブ史上最多の入場者数を記録しました。声出し応援がまだ解禁される前でしたので、ハリセンでの応援でしたが、非常に良いスタジアム空間となりました。Jリーグ野々村チェアマンが来場され、興奮した様子で『非常に良い作品だ』と褒めてくださいました。過去なでしこジャパンの試合運営補助で1万人以上の経験をしていますが、私たちの主催試合で1万人以上の集客をして試合運営をすることが初めての中、しっかりとお客様をお迎えして楽しんで笑顔で帰っていただけたこと。このポジティブな経験をクラブ内外の関係者全員で経験できたことが1つの財産になると思います。

経営についてですが、入場料収入や会費収入、物販の部分では微増ではありますが右肩上がりです。コロナ禍で落ちた時期がありましたが、戻って来ています。集客について魔法はありません。会員数やシーズンチケットホルダー数を増やしていく、地道な努力を積み上げており、緩やかに右肩上がりに成長していると感じています。

まだ決算を終えていませんので今期の数字については現時点で控えさせていただきますが、右肩上がりと言いつつも、未だコロナ禍でもあり、経営そのものは非常に厳しい状況にあることはお伝えさせていただきます。長野の皆様に恩返しすることが出来るようになるまで、来年以降もひたむきな経営努力を続けていきたいと思います」

 

 

シュタルフ悠紀リヒャルト監督より|2022シーズンの闘いを振り返っての総括

「まず初めに、一年間本当に沢山のご支援・ご声援を頂き、全ての長野の方々に感謝を伝えたいです。一言で今シーズンを振り返ると、内容と結果がリンクしなかったシーズンだったと感じています。かつて日本代表も率いたイビチャ・オシム氏も言っていましたが『もしかしたらサッカーは唯一、強い方が勝たないスポーツだ』という言葉を残されています。そうした感覚や気持ちでUスタや他会場を後にする試合が非常に多いシーズンでした。応援してくれた方々に、最後まで昇格の懸かった闘いを届けたかったですし、最後に我々のホームで藤枝さんが勝ち獲った『J2への片道切符』と書かれたものを、本来であればその場で我々が勝ち獲りたかったです。最終戦後のセレモニーでも述べたとおり、本当に不甲斐なく情けない気持ちでいっぱいです。その一方で、もう一つ勇気づけられるオシムさんの言葉で『クラブの成功はトロフィーの数ではない。動かした心の数だ』というものがあります。今年多くの人々に喜んで頂けるような内容のフットボールは出来たのではないかと思っています。一丸となってベストを尽くし続けてくれた選手達を誇りに思います。それが最終節に勝ち切れなかったにも拘わらず選手やスタッフに送っていただいた拍手だと思います。それを励みに、来季は内容が結果とリンクするシーズンを送りたいという願いと気持ちを強く持っています」

 

 

 

質疑応答

─シュタルフ監督:14勝10分10敗=8位という成績についての受け止めは。

「8位という順位は非常に響きが悪く、上位争いをしているチームからしては物足りない順位だと思います。我々のフットボールを見ずに順位表だけを見る長野の皆様にとっては、あまりワクワクするシーズンでは無かったのかもしれないと残念に思います。14勝挙げましたが、10分けの部分は限りなく勝ちに近い引き分けが多く、最後の最後に落としたようなゲームも数えきれないほどあります。先ほども申した通り、順位表と我々が過ごしてきた1年間との間にギャップを感じています。結果に残せなかったところが自分の力の無さだったと受け止めて、来年は違う順位表を作って行こうと頑張りたいと思います。ただ忘れてはいけないのは、去年の順位表では9位でのフィニッシュ。それも15チーム中の9位という事で勝点のペースでは去年は1.29くらいで今年は1.52くらいのペースで勝点を取っていると思います。従って改善された部分もあると思います。今季増えたチームはJ2から落ちてきた実力のある4チームでした。我々は"Grow Every Day"していくクラブなので、そうした意味では一つしか上がっていない順位も、一歩前進だと思います。次に繋がる一歩だったのではと前向きには捉えています」

 

─シュタルフ監督:J3を指揮して4年目のシーズンでしたが、これまでのJ3との違いを感じましたか。どんな戦術やチーム作りをしようと考えていましたか。

「今季リーグ全体を通して振り返ると、これまで私が経験してきたJ3よりも拮抗した試合が多いのかなという印象を受けました。最終的にはトップハーフとボトムハーフの間には差が生まれたと思いますが、勝点を取っていくペースを見ましても、いわきさんが2点台で、3位や4位で昇格を逃した鹿児島さんや松本さんが1.94くらいのペースで勝点を取っています。相模原さんが昇格した年はもっと低い数字だったはずです。従ってトップハーフがボトムハーフに対する取りこぼしが非常に少なく、上位同士の大一番を勝ったチームが勝ち抜いて行った昇格レースだったと思います。その点が今までには無かったJ3リーグになったのかなと思っています。内容では、どのクラブも凄く成長しています。レベルだけではなく、キャリアを積んだ選手がJ3でも当たり前に見かけるようになりました。J1やJ2で経験した選手がどのクラブにもいます。そうした彼らがこのリーグに与える経験値や試合運びの向上だったり、高い強度の試合がどのクラブでも出来るようになったのかなと思います。そこを勝ち抜くために、我々は、"ORANGEの志"のキーワードに込められたポイントをしっかりと抑えて、選手個々が成長していくことを目指しました。やはり強度で対戦相手を上回っていく、"Run Fast"や"Aggressive Duels"が求められたシーズンでした。そして地域やサポーターの皆様も含めて一体となって闘う事が求められたシーズンだったと思います。そうしたところに重きを置いてチームを作って指揮を執った1年でした」

 

─シュタルフ監督:目の前で昇格を手にした藤枝に有って、パルセイロに足りなかったものとは。

「藤枝にあって我々に無かったものは間違いなく勝点の数。勝点の部分で彼らが我々よりも多く集めた1年だったから昇格出来た。最終節、我々が優勢に試合を運べたかというと、必ずしもすべての時間帯がそうではなかったと思いますが、互角の戦いが出来ていたと思います。ちょうど今朝、僕は藤枝戦を振り返っていましたが、決定的に違うのは最後のワンプレー。『あとこのパス1本が通っていれば』とか『このクロスが繋がっていれば決定機』というシーンでいうと、あの内容のゲームでも我々がチャンスになる一歩前のシーンまで作った数は圧倒的に多かったと思いました。その一方で、チャンスの数でも圧倒したかというとそうではなかった。ラストプレーの精度や、ラストプレーが通った後の精度だったり。藤枝さんは決定機を外しているイメージは無くて、そのチャンスを決め切る力が、今年のチームには一番足りなかった部分だと思います」

 

─シュタルフ監督:来シーズンの目標を。

「長野パルセイロというクラブで指揮を執らせていただく以上、やはり『昇格』という目標はブレてはいけないと思います。クラブはそこに期待して、私に再チャレンジのチャンスを与えてくれたと思います。しっかりと勝ち獲れるようなシーズンにしたいなと思います」

 

─シュタルフ監督:今季は『ORANGEの志』が根付いたシーズンだったのでは。来季のスタイルについて、現状考えている事とは。

「スタイルの根本は積み上げてこそ意味があると思うので、大きく変わることは無いと思います。やはり攻撃の形についてや回数を増やしていかなければいけませんし、守備の連動性、ボールを奪いに行くことやゴールを守ることも引き続きやらなければいけません。実際の形や試合内容については選手ありきな部分もあるので、システムも含めて必ずしも今年と同じとは限りません。今年も一年を通せば何個違うシステムを組んだかわからないくらい。その幹の部分である、強度高くAggressiveに、攻守においてスピーディーに、相手のウィークポイントをしっかりと見て自分たちのストロングをぶつけていくスタイルは求められると思います。その部分を積み上げて、選手の特徴を活かせるようなチーム作りをしたいと思っています」

 

─シュタルフ監督:J2から2チーム降格、JFLから2チームの昇格がある来季、どんな戦いになると思いますか。

「我々の作業としては何も変わりません。毎試合毎試合しっかりと相手を見て、自分たちを磨いて、自分たちの武器を相手のウィークにぶつけていく。そして自分たちのウィークをなるべく消していく作業。その中で凌ぎを削って勝点3に繋げていく、そういう戦い方は変わらないと思います。見ている人には、最後の結果だけではなくて一試合一試合を楽しんで欲しいなと感じています。パルセイロがある日常をエンジョイして欲しいなと思います。トップ2に入って行く努力とパフォーマンスをしっかりと発揮すること。一試合一試合楽しかったと思っていただけるような38試合をお見せしたいと思います」

 

─町田社長:チーム編成・選手補強について、現状どのように動いているのか教えてください。

「監督からの話しの通り、我々は最後のクオリティの部分が課題ですので、そのクオリティを持っている選手を、コストを抑えた中でも数枚獲得したいと動いています。そうした選手を数枚入れることでの相乗効果も期待できます。一方で今年のチームが若いチームであったこともあり、経験値のある選手も大事だと考えています。J3というリーグで数字や結果を残している、経験値のある選手も獲得したいと考えています。監督のリクエストにも応えつつ、パルセイロの数年後の未来を見据えた若返りを図り、長野らしさを表現できるような選手も獲得していきたいと考えています」